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名勝・妙見浦

 
 妙見浦は私の一番好きなところである。
 全国津々浦々を旅したことはないが、おそらくここは景観においては10本の指には入るのではないかと思っている。
 藍より青い海というが、まさにその形容がピッタリくる天草西海岸の海。みやげ物店が乱立するそこいらの観光地とは異にする、自然豊かな別天地。
 こんなところで日がな一日、のんびりと過ごすのもまた、旅のひとつの方法ではないだろうか。
 しかし、本当は誰も訪れてほしくない。僕だけの場所でありたい。

 
             高浜十三仏公園から妙見浦を望む。
            休日にはスキューバダイビングの客で賑わう。



名勝天然記念物 妙見浦


    昭和10年8月27日指定
    所在地 天草郡天草町

 リアス式海岸を有する天草西海岸の風景美の中で、特に印象に残るのが奇岩奇石が立ち並ぶ妙見浦である。国の名勝、天然記念物に指定されている。深く入り組んだ入り江、突出した岬、大小高低の岩礁など変化に富んだ男性的な景観は見事である。海一帯は対馬暖流の影響を受けるため暖海性生物が多く生息し、透き通った海の底には色とりどりのサンゴの林や亜熱帯の美しい魚の泳ぐ様子をグラスボートから見ることができる。


 天草西海岸の代表的な風景地で海岸一帯は高さ20メートルより80メートルに及び、断崖が相接して連なり付近の島々が松の緑を添えている所さながら絵のような風光です。
 ほとんどが、第3期始新統の砂岩礫石の景層より形成されている妙見崎には、妙見洞門及び妙見洞くつがあり前者は高さ20m、幅8.5mから20m、深さ50mに及び小船等は自由に通ることができます。後者は互いに交叉した三条の断層に沿って生じた細長い三つの波蝕洞門が内部において相つながり、洞くつを形成したもので自然の妙技正に一見に価するものがあります。
 なお洞くつは、砂岩の厚層に生じたものであるにもかかわら、洞門には大小の鍾乳石が垂れ奇観を呈しています。