里の神々


三岳観音(摩崖仏)      天草市五和町手野

   
   
 2023年秋、三岳観音を見に行った。三岳観音は、手野下内野の熊野神社の脇に入り口があり、小高い丘(標高110mくらい)の上にある。道は荒れて登りにくいが、迷うほどではない。やや急坂である。山上は松の枯れ葉が落ちていて、滑りやすい。ひょっとしたら、マツタケがあるのではと思う心があさましい?
 山上に近づくと、先ず目に入るのは、観音堂。観音堂横の大石に明治45年に創建したと刻まれている。
 この山上には、大石や中石が散在し、その岩に観音様が刻まれている。案内板によると、33体が刻まれているという。
 この観音様は、別の石に寛政12年4月に完成したことが刻まれている。石工は下浦村の3人、願主は東明寺の泰寛と刻まれている。
 33体の像を3人の石工が彫ったという事は一人当たり11体である。足元も悪い中、足場を組み、石ノミでコツコツ掘るには、随分時間がかかったことだろう。しかも、素人見でも、立派な出来栄えだ。
 まさに立派な文化財価値があると思う。が、説明板も、市の設置したものでなく(市指定文化財となっていない)、救いは、五和まちづくり協議会の案内板が設置されていることだ。この案内板にもあるように“この種の摩崖仏としては県内でも珍しい”のであれば、立派な市指定文化財に当たるとおもうが。