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熊本県指定重要文化財
施無畏橋
 天草市本渡町 町山口川

施無畏橋





「せむいばし」と読む。
字面からして、仏教用語だろうと思い、辞書を繰ってみた。
 
「施無畏」=
 [仏] @ 三施の一、衆生の種々の畏怖の心を取り除いて、安心させ、救済すること。無畏施。
    A 観世音菩薩の異名。<広辞苑> 

 この橋を渡りきった目の前に小さな祠がある。無畏庵だ。
 この橋の参道として架けられたため、施無畏橋という名前が付けられたようだ。
 また、この橋の横に一般道の橋が架けられているが、さらに奥に行くと、染岳の霊場、染岳観音院、染岳(380m)がある。

熊本県指定文化財
山口の施無畏橋 附架橋碑

  指定年月日 平成18年5月29日
  管 理 者  天草市・無畏庵

 施無畏橋は、染岳登山口にある曹洞宗の無畏庵の参道として明治15年(1882)に架けられた眼鏡橋で、下浦石を使用している。口伝では、明治4年(1871)に第一回目の眼鏡橋が出来上がったが、その後崩れ落ち、再建したものが現在の施無畏橋と言われている。
 橋は単一アーチで、橋長22.73m、橋幅3.24m、径間12.14m、侠矢
(きょうし)3.03m。橋には高欄が設けられ撥型(ばちがた)の束石(つかいし)に手摺(てすり)石を載せている。全体的に壁石が薄く、特にアーチ中央部は、輪石のみで構成されているという特徴があり、昭和50年に市指定、平成18年に県の重要文化財に指定されている。
 また、無畏庵の門柱として残されている架橋碑からは、建造年号、世話役、石工、寄付者の名前などを読み取る事ができる。天草の石橋では架橋碑が現存している橋が極めて少ないことから、架橋碑が現存し、その碑文から多くの情報が得られるという点においても施無畏橋は貴重な石橋である。

 平成20年3月
        天草市教育委員会
 

<注>文中の「侠矢」は、「拱矢」のことか。
石橋の構造については、熊本国府高等学校パソコン同好会で、詳しい解説が書かれているので、参照ください。


<参考>旧本渡市指定時代の橋説明版


本渡市指定文化財
施無畏橋
 
           指定年月日 昭和
50613日 
            管理者   本渡市

 染岳登山口にある無畏庵の参道として架けられたこの石橋は、最初明治
4(1871)に完成したがその後崩壊し明治15(1882)9月に再建された。楠浦の眼鏡橋とほぼ同型で橋長22m、幅3m、石材は下浦石である。庵の入口にある記念碑には戸長、出納方、常詰、世話人、石工、寄進者の名が刻んである。
   本渡市教育委員会