楠浦村に於ける万治検地前後の年貢収納の変化


万治高撫検地による村高の変化

万治二年 天草郡高撫検地前後の各村石高  単位:石)
町村名 正保三年
(1646)
田畑
万治二年(1659) 高撫検地 増減石 増減率 鈴木
 さま
村高 寺社領 村高+寺社領
  (A)   (B)   (D)   (E)   E-A   E/A-1
富岡町 37.95 176.93 176.93 139 3.66
志岐組 志岐村 1,461.74 983.56 65.142 1,048.70 -413 -0.28
内田村 140.14 79.53 74.858 154.39 14 0.10
上津深江村 139.18 103.37 103.37 -36 -0.26
坂瀬川村 450.27 246.57 246.57 -204 -0.45
井手組 井手村 725.32 352.75 352.75 -373 -0.51
荒河内村 315.44 55.83 55.83 -260 -0.82
城木場村 326.43 176.19 176.19 -150 -0.46
上野原村 376.68 197.98 197.98 -179 -0.47
下内野村 421.70 248.98 248.98 -173 -0.41
二江村 340.46 146.16 146.16 -194 -0.57
御領組 御領村 1,379.57 859.15 2.00 861.15 -518 -0.38
鬼池村 700.47 456.60 456.60 -244 -0.35
佐伊津村 1,257.73 596.26 3.00 599.26 -658 -0.52
広瀬村 221.67 155.12 155.12 -67 -0.30
本泉村 92.19 105.47 105.47 13 0.14
下河内村 132.08 195.94 195.94 64 0.48
新休村 69.54 104.46 104.46 35 0.50
本村 199.33 123.72 105.00 228.72 29 0.15
本戸組 本戸馬場村 919.29 767.67 767.67 -152 -0.16
町山口村 787.33 610.93 610.93 -176 -0.22
亀川村 352.32 251.92 251.92 -100 -0.28
食場村 94.84 173.55 173.55 79 0.83
枦宇土村 194.88 200.14 200.14 5 0.03 ○○○
楠浦村 260.75 234.65 234.65 -26 -0.10
大宮地村 161.24 142.45 142.45 -19 -0.12
小宮地村 772.14 681.97 681.97 -90 -0.12
大多尾村 183.52 127.60 127.60 -56 -0.30
一町田組 一町田村 1,024.08 600.33 600.33 -424 -0.41
中田村 135.82 96.34 96.34 -39 -0.29
久留村 234.14 102.78 102.78 -131 -0.56
白木河内村 220.59 113.48 113.48 -107 -0.49
平床村 176.71 82.54 45.00 127.54 -49 -0.28
市瀬村 160.48 103.80 103.80 -57 -0.35
津留村 386.36 202.51 202.51 -184 -0.48
立原村 119.66 89.48 89.48 -30 -0.25
碇石村 48.20 64.21 64.21 16 0.33
宮地岳村 545.40 275.53 275.53 -270 -0.49
今村 170.49 150.16 150.16 -20 -0.12
益田村 106.42 77.84 77.84 -29 -0.27
久玉組 久玉村 389.05 261.33 261.33 -128 -0.33
宮野河内村 328.91 192.25 192.25 -137 -0.42
深海村 168.83 126.57 126.57 -42 -0.25
牛深村 281.03 185.88 185.88 -95 -0.34
魚貫村 311.42 154.76 154.76 -157 -0.50
亀浦村 217.03 166.08 166.08 -51 -0.23
早浦村 100.25 85.90 85.90 -14 -0.14
大江組 大江村 1,010.24 364.90 364.90 -645 -0.64
今富村 455.08 89.97 89.97 -365 -0.80 ○○
福連木村 114.86 81.98 81.98 -33 -0.29
崎津村 70.28 16.58 16.58 -54 -0.76
高浜村 885.91 560.28 560.28 -326 -0.37
小田床村 207.17 111.03 111.03 -96 -0.46
下津深江村 180.87 60.21 60.21 -121 -0.67
都呂々村 331.12 194.76 194.76 -136 -0.41 ○○○
栖本組 大浦村 438.80 302.70 5.00 307.70 -131 -0.30
志柿村 510.81 326.56 326.56 -184 -0.36
大島子村 697.67 463.29 463.29 -234 -0.34
小島子村 247.91 150.89 150.89 -97 -0.39
下津浦村 497.81 269.96 269.96 -228 -0.46
上津浦村 1,543.42 736.72 736.72 -807 -0.52
赤崎村 269.55 184.53 184.53 -85 -0.32
須子村 267.16 252.90 252.90 -14 -0.05
古江村 209.46 190.17 190.17 -19 -0.09
湯船原村 352.62 229.75 229.75 -123 -0.35 ○○
馬場村 290.13 199.95 199.95 -90 -0.31
下浦村 85.33 64.72 64.72 -21 -0.24
打田村 195.81 140.41 140.41 -55 -0.28
河内村 350.51 219.75 219.75 -131 -0.37
大矢野組 上村 1,325.08 665.34 665.34 -660 -0.50
中村 738.78 432.75 432.75 -306 -0.41
登立村 725.79 390.77 390.77 -335 -0.46
教良木村 473.36 360.40 360.40 -113 -0.24
内野河内村 340.70 202.42 202.42 -138 -0.41
今泉村 298.63 155.98 155.98 -143 -0.48
合津村 253.01 169.89 169.89 -83 -0.33
楠甫村 439.87 224.42 224.42 -215 -0.49
阿村 89.18 40.57 40.57 -49 -0.55
砥岐組 樋島村 70.65 72.16 72.16 2 0.02
姫浦村 207.30 143.43 143.43 -64 -0.31
二間戸村 205.62 120.92 120.92 -85 -0.41
高戸村 143.17 137.57 137.57 -6 -0.04
大道村 180.48 93.26 93.26 -87 -0.48
御所浦村 135.02 49.78 49.78 -85 -0.63
浦村 152.29 144.14 144.14 -8 -0.05
棚底村 460.51 299.56 299.56 -161 -0.35 ○○
宮田村 208.97 238.95 238.95 30 0.14
33,300 20,841.54 300.00 21,141.54 -12,158 -0.37 34ヶ所
(註)桑茶等田畑以外も含めた総計 37,409 21,141 -16,268 -0.43

① 寺沢検地における村高は、田畑の他に桑茶塩竈網などがあり、この高は群総計4,132石余が含まれている。ただしこれらは、鈴木代官就任時から、永荒として非課税対象となっており、寺沢検地と鈴木検地を比較する際には、無視できる。
② 万治検地は、俗に石高半減と言われているが、この表から見えることは、ただ単に半減という事はできないことが分かる。
③ 逆に村高が増加した村も、87ヶ村中11ヶ村もあり、50%以上減石した村は14ヶ村である。
④ 増加した村で、一番増加した村は食場村で、83%も増加している。
⑤ 逆に一番減じた村は荒河内村で、82%減じている。
⑥ 俗に「鈴木重成は石高半減のために死をもって幕府に願い出た。そのために村人は、鈴木重成を神として祀った」。と言われているが、鈴木さまが祀られている村は、増加した村にもあり、これが正しくないことは明白である。
⑦ したがって、明らかなことは、減石がなされて事は間違いないが、一番の目的は、寺沢検地が村の現状とかけ離れた、いい加減な検地であり、それを正すために、鈴木検地(万治検地)が行われたとみるべきだろう。つまり、石高半減検地でなく、高撫検地が適正な検地の呼び方である。
⑧ また、石高が半減すると、税金も半分になるというのは間違いで、村高は、一応の基準で、楠浦村の例を見ても、乱前より増加している場合もあることに注目すべきである。


 
  資料 「天草鈴木代官の歴史検証p298」「苓北町史(p394)」「天草嶋鏡(天草寺社領之覚)」
     「天草代官鈴木重成鈴木重辰関係資料集(p172・p298) 
  出典 「肥後国郷牒」「郷牒之控」「平井家旧記録」「木山家文書」